MC Shared Value中国版の実現に向けて

三菱商事(中国)有限公司副総代表兼三菱商事(上海)有限公司董事長 総経理の若木様に三菱商事の中国拠点機能とDX推進における課題や将来の方向性についてお話を伺いました。
インタビュイー: 三菱商事(中国)有限公司 副総代表
         三菱商事(上海)有限公司 董事長 総経理 若木孝優様
取材者: 上海菱威深信息技術有限公司 総経理 牧野国嗣

三菱商事の中国におけるミッション・戦略について、お話を頂ければますでしょうか。

 三菱商事(中国)有限公司では2023年4月の新体制の発足に伴い、「①三菱商事グループ代表機能」、「②インテリジェンス(中国の「見える化」)」、「③新規事業・市場開発」、「④事業会社支援」の中国における4つの機能を掲げました。
 それに加えて、三菱商事が2022年5月に「中期経営戦略2024」で発表したMC Shared Value(共創価値/MCSV)の東アジア版・中国版の実現に向けて、三菱商事グループ中国拠点代表としての機能を発揮し、中国国内の事業会社も交えて組織内の垣根を越えた相互連携の強化・深化を図るのも三菱商事(中国)有限公司の役割です。




MC Shared Value(MCSV)中国版を実現するため、どのような取組をされていますでしょうか。

 「自動車業界」、「モビリティ×物流」、「次世代エネルギー」、「DX×生活」、「環境素材」、「日本農水産加工品輸入」の6つのタスクフォースを立ち上げ、これからの活動を通じて、先ほどお話した三菱商事(中国)有限公司の4つ機能のうち、②インテリジェンスを高め、③新規事業開発に繋げることを狙っています。
 もう一つのMCSVのテーマとしては、個々の事業部門及び事業会社の収益を高めることです。収益強化に繋がるように、三菱商事(中国)有限公司は今まで通り事業会社に対し財務経理、法務、IT、人事総務、等々コーポレート機能の支援を行い、併せて共同営業活動も一緒に推進します。

三菱商事におけるDXを推進していく上での課題・方向性をお聞かせください。

 DXの取組は、まずは「Digitization」(デジタイゼーション:IT活用による効率化・機能向上)で、その上で「Digitalization」(デジタライゼーション:仕組み再設計、創造的破壊による飛躍的向上・違う標準への飛躍)への進展といわれます。
 Digitizationの段階でも多くの課題があり、レスペーパー化や業務フローのデジタル化などがその一例です。この領域はiVisionの多大な協力を得て進めています。さらに、新型コロナの影響で在宅勤務やリモートアクセスの需要が増加し、新しい働き方が注目されています。これらの変化はDigitizationの下で着実に進行しています。
 しかし、Digitalizationへの移行は、どのようなトランスフォーメーションを行う必要があるかについてはまだ模索中であり、課題が多いと考えています。三菱商事(中国)有限公司で行うトレーディング、製造、販売などの事業にDigitalizationの要素をどのように組み込んでいくか、本部と事業会社との連携もますます重要になるでしょう。中国は電子決済が末端まで普及するなど世界を代表するデジタル先進国であり、この社会環境を活かした取り組み余地が大いにあると思います。




中国に着任されてから驚かれたことは?

 中国には7年ぶりの駐在ですが、電子決済や飲食の宅配など、さまざまな分野での変革と、DXの実装レベルに驚きました。中国がどのようにDXを推進してきたのか、そして今後どのようなDXを進めるのかを謙虚に学びつつ三菱商事のビジネスに中国の経験を組み込み、新たなビジネス展開に繋げたいです。
 中国には約8400万人の飲食宅配ドライバーがいると言われていますが、同様のモデルを日本で導入することは人手不足の問題があるため難しいでしょう。ただし、これらの仕組みを学ぶことから新しい方法やアプローチを見つけ出すことができるかもしれません。

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左:若木孝優様  / 右:牧野国嗣

三菱商事(上海)有限公司にご着任後のiVisionの印象は如何でしょうか。

 10年ほど前に私が北京の事業会社に出向していた際に、当時のiVisionの総経理と面会したのが最初の出会いです。今回再び上海で一緒に仕事をすることになりました。
 いまのiVisionのお客様は、三菱商事関連企業、三菱グループ企業、その他中国でご活躍されている企業様がバランスよく組み合わさっていることが分かりました。iVisionの成長の為には更に幅広いお客様との出会いが必要になると思います。弊社として、協力できるところは今後も支援したいと思います。

三菱商事とiVisionの20年のなかで印象に残っているエピソードがございますでしょうか。

 私は2023年4月に上海に着任しましたので、新型コロナウィルスによる上海ロックダウンを直接は経験しておりません。しかしながら、この未曾有の危機を共に乗り越えた経験を語らずして、両社の歴史を語ることは出来ません。
 弊社ITサービス部の当時ロックダウンを経験した社員のコメントを、以下ご紹介します。
 「上海ロックダウンの時は、突然のことで準備期間もなく、全社員が在宅勤務で業務をしなければならなくなりました。オンライン会議時間が急激に増加し、会社のネットワークが逼迫し、日常業務が大きく影響を受けました。社内業務システムへのアクセスや、メールの送受信が遅延する状況も多発しました。そのなかでiVisionの担当者は、殺到してきた問合せ一つ一つに丁寧に対応し、社員の業務遂行を最後まで支援してくれました。状況を踏まえて、在宅勤務のネットワーク環境改善を最優先に検討することになりました。iVisionは、ネットワーク環境の強化、リモートワークツールの選定、実装に多大な協力をしてくれました。」
 新型コロナが一段落し、テレワーク、スマートオフィスなどの新しいオフィスコンセプトも多くの企業に受け入れられつつあります。今後実施される次世代ネットワーク構築や事務所改修でも、変わらぬ貢献を期待しています。

iVisionに対して今後のご期待をお聞かせください。

 三菱商事(中国)有限公司が中国事業のハブとして担うIT機能は3つあります。①中国においてMC本店のIT戦略を実現すること、②中国の法規制やIT環境の違いの中で、中国独自のIT政策を策定すること、③各事業会社ごとに異なるIT課題を横断的にサポートすること、です。この実現のためには、三菱商事(中国)有限公司とiVisionとの連携や役割分担が不可欠です。
 iVisionは中国市場において20年の経験を持ち、700社以上の顧客に独自のITサービスを提供しています。三菱商事(中国)有限公司の活動を支える重要なパートナーです。これからも、一心同体で未来に向かって進んでいくことを期待しています。

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左:若木孝優様  / 右:牧野国嗣

三菱商事(中国)有限公司

三菱商事(中国)の貿易活働と事業投資は、電力・インフラ、モビリティ、エネルギー・総合素材、金属事業、複合都市開発、食品・コンシューマー事業、化学などの伝統的な分野から、省エネ・環境保護、IT、新エネルギー開発などの新興領域にもわたっています。中国のお客様ために開発から調達、生産、流通販売までの経営全般に最適なソリューションを提供することに取り込んでいます。